子瞻詩句妙一世乃云〜(黄庭堅)
本作は、2020年11月12日発行の東京新聞(朝刊23面)に掲載されました。記事内では、審査員の一人 斉藤峰葉氏より「穂先のきいた鋭い筆遣い、緩急をつけたリズミカルな紙面構成まさに熟練の作、文字が踊るが如く躍動する、見事である。」という、身に余る評価をいただいております。
- 種別
- 漢字/額装
- 記録
- 第42回 東京書作展 (2020年)
- サイズ
- 縦205㎝ × 横70㎝

Works
書刻家 佐能寶咲の書と刻字作品を紹介します。
本作は、2020年11月12日発行の東京新聞(朝刊23面)に掲載されました。記事内では、審査員の一人 斉藤峰葉氏より「穂先のきいた鋭い筆遣い、緩急をつけたリズミカルな紙面構成まさに熟練の作、文字が踊るが如く躍動する、見事である。」という、身に余る評価をいただいております。
淡墨と濃墨を重ね合わせた迫力ある大字が、脇を固める細字群によってより圧倒的な主役感を放つ作品です。
大字の迫力と、細字の密度が響き合う作品です。
紙の長辺に連動した流麗な筆致が心地よい、解放的な作品です。
『鬼灯を口にふくみて鳴らすごと 蛙は鳴くも夏の浅夜を』
配色と余白で「夏の浅夜」の情景を、槌目模様で周囲へ波紋のように広がる「蛙の鳴き声」を表現した作品です。
膠礬(どうさ)がもたらす硬質な細線と、豊潤なにじみが響き合う作品です。
二幅の間で呼応する墨のグラデーションと余白が心地よい作品です。
黒と金の王道の配色のもと、叩き目の陰影に躍動感あふれる篆書が映える作品です。
『翻訳をされたらたぶん消えている 読点だろう、丁寧に打つ』
上段に「翻訳による消失の予感」、下段に「読点を丁寧に打つ意志」という思考の移り変わりを表現。槌目模様による「翻訳が生み出す混沌」の中で、金の立体造形が「消えるだろう読点の尊さ」を静かに主張した作品です。
『青あおと かげ深みゆく 樹々を吹く 五月の風は 我より溢る』
左右に分けた章法により、樹々から自己へと渡る風の流れを創出。2幅の間にあえて設けた隙間は風の通り道として機能し、緑の深い打痕で「かげ深みゆく樹々」を、白い文字で吹き溢れる「五月の風」を表現した作品です。
『意(こころ)に可なり 嶺上の松』
茶色の槌目模様で嶺の岩肌や風雪を写し取り、そこに立つ「可意嶺上松」の気高さを金の文字で表現。さらに「松」の字形によって、嶺の上で枝を大きく広げるダイナミックな樹形を連想させる作品です。
『鳥は歌い 花は舞う』
祝祭性を象徴する赤と金の対比と、大きく長く伸ばした「舞」の字形により、鳥が飛び花が舞い踊る華やかな情景を表現した作品です。
『くれなゐを 冬の力として堪えし 寒椿みな 花をはりたり』
生命を燃やすように咲く寒椿を思わせる深紅の背景から、流麗な行草体が力強く立ち上る、筆勢と配色で冬の厳しさに耐え抜いた生命の躍動を描きつつ、結びは字粒を小さく畳み、花を落とし季節が静かに巡り出す余韻を表現した作品です。
Statement
線に宿る息づかいを、墨の重なりと余白の美とともに、静かにお届けいたします。
Artist
書刻家 / 岡山県井原市を拠点に活動中
「一筆一刻に想いを乗せて作品をお届けします。」
佐能美保 1974年、岡山県倉敷市生まれ
小学2年生から中学卒業まで毛筆に親しむも、長らく筆から離れ、機械設計の職に就く。業務の合間に任された宛名書きやのし書きを契機に社内で「書く」依頼が増す。
書けば書くほど「書く」を知りたくなり、2014年4月 (40歳)日本教育書道藝術院(東京都台東区)に入門。激務の傍らゼロから書を学び、2017年3月 (42歳)師範資格を取得。その後も研鑽を重ね、東京書作展優秀賞、特選を経て、2020年(46歳)には東京新聞賞を受賞、現在は同展の依嘱作家を務める。
また「書」のみならず、木などに文字を刻む「刻字」にも挑み、毎日書道展(刻字部)や日本刻字展で入選を果たす。
新潟、栃木、千葉、東京、埼玉を転々とした約20年にも及ぶ関東での生活を終え、2019年8月(45歳目前)より岡山県井原市の夫の実家へ拠点を移す。恵まれた創作環境になくとも泥臭く筆と刀を持つ。
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